生命腺

てもなんだろうなあこの状態はと思うけどたぶんこれは成すべき事を幻想できなくなったということなんだろう。絶望を失認する機能の欠如。まあ割と暇な時なんかにときどき起こるんだけど。一文字も書けず、薄い文庫一冊も読めなくなって、一呼吸、鼓動一拍打つごとに静かに緩やかに虚無へと向かっていくおれとせかいとうちゅうにそっと耳を峙て息を潜める。たとえばそのうち睡眠とか食事に纏わる異常を来して虚無が向こうからやって来始めると、それは絶望に変わり、恐怖に変わり、そのあたりで俺の生命的な機能はまだ生きているのだなと納得すれば回復の兆し。