セカイシミュレータ

新刊もひたすら山と積まれていく今日日、なぜか昔一度読んだ本を読み返す癖が付いたかもしれない。もともとあまり記憶力…というか引き出しの整理が上手くないので、先の展開を覚えていて詰まらんということもなく(読んだあとでああ確かにこうだったなあとは思い出すので、忘れているわけではないんだけど)、話そのものもまあ普通に楽しめるし、なにより今と昔の自分の考え方の違いやその後追加された知識によって読め方がものすごく変わっているのが実感できてなにしろこれが楽しい。当時ふーんとか思いながら読んだ名作が今読むとなにこれすげえと感心したり、当時これ最高と思って読んだ作品が今読むと薄!とか思えたり。
そんなこんなで最近は、人の心に関わる部分てちっとも進歩してないんだなあと気づくことが多い。そりゃもう云100年単位とかで。まあ何でも変わる必要がないから変わらないんだろうし、つまりは遠くから見れば人間の生存活動はごく平和って事だ。変化のなさは歯がゆくもあるけど、とはいえ人の心が淘汰圧から独立するには、未来を予測する力が圧倒的に不足しているのは間違いない。実績というのはそれだけで説得力があるし、未来を正確にシミュレートできない科学が信仰に劣ると判断されるのもまあ仕方ないんだろう。科学はもう少し己の不完全さ加減を自覚すべきかもねとも思う。話がそれた。