兎が亀に追いつく前に

おれが触れる哲学的なものは、どうにも役に立たないものが多くてなんだろうな、運が悪いのか。つーかそもそも、おれが期待しているようなことをしている分野ではないのか。一切は無意味なんだよとか、さらっと言い切る人は、なんで生きてるんだろうと思う。


精神的活動も含めた、あらゆる人の行為にはものすごく強力なバイアスがかかっていて、それは要するに生命の原理であり、もとを正せばエントロピーをより効率よく増大させようとするエネルギーの流れだ。エネルギーを使うっていうのはそういうことだし、不安定な状態を平衡させたい気持ちはスゲーよくわかる。と、ここまでは大前提として。
じゃあ人類の、(生命の、でも良いけど)生きる目的もイコールそれで良いの? というのがおれの疑問なのね。

仮に、この地球上で上手いこと繁栄して、宇宙に進出して、星を喰らい銀河を喰らい、宇宙を殺してその後に何があるのかということ。おれには、生命は、自分たちがより確実に死んで、そして二度と生き返らないために、必死で生きているようにしか見えない。まあ、そういうストーリーもありなんだろうか。

とはいえ、ある程度世界の構造を理解したところで、死への欲求が強まる前に延命策に走るのが、大方の方針なのかなとも思う。そうはいってもまあ死んだら終わりだし、世界を知り己を知っていけば、いずれ誰かが別の答えを出してくれるんじゃないかと、当てもなく願い(あるいは呪い)、伝える行為が、凡人たるおれたちの生きる理由なんじゃないのか。